簡単メディカル情報 

老化予防に対する運動の効果
米国立加齢研究所の99年の報告のなかで高齢者で老化予防のために持久力運動(有酸素運動)、筋力訓練、バランス訓練、柔軟体操の四分野をいっしょに行うことを勧めています。また軽量の負荷をかけながら運動をすると、運動後に血中成長ホルモン濃度が上昇しているということで、最近では小児期だけでなく成人や高齢者でも全身の代謝に重要な役割を演じていることが明らかになり、この成長ホルモンの低下と老化が密接な関係があるといわれています。ただし安易な成長ホルモンの投与は発ガンの危険性もあるため、運動をすることによって、内因性成長ホルモンの分泌を促進することが老化予防に役立つということです。


大腿骨頚部骨折の原因
大腿骨頚部骨折は、高齢者の寝たきりの原因となりやすいことが知られていますが、2000年に大腿骨頚部骨折で全国の整形外科施設を受診した3万4434人に調査したところ、75%が立った高さからの転倒で、高齢になるほど、屋内の軽い転倒によって骨折する傾向があったそうです。転落交通事故9%、階段・段差の踏み外し8%、不明または記憶がないものが6%でした。寝た状態での骨折には、オムツ交換時の骨折も含まれ全体の0.3%であったそうです。このことからも、骨粗しょう症の治療や、転倒防止対策が大切であることがわかります。(鳥取大学整形外科 萩野氏ほか)

サプリメント(グルコサミン・コンドロイチン硫酸)
グルコサミン、コンドロイチン硫酸はともに軟骨の重要な構成成分です。
グルコサミンは軟骨の形成に必須のプロテオグリカンの合成を促進し、コンドロイチン硫酸の前駆体のひとつでもあります。経口摂取で90%が吸収されます。
コンドロイチンは軟骨細胞内でコラーゲンの合成を調節することにより、軟骨形成を調整しています。またアレルギー反応、炎症性反応を軽減する効果もあります。こちらは経口摂取の吸収率は低く25%程度です。ともに吸収後直ちに新たに作られる軟骨へ運ばれて取り込まれます。
一日グルコサミン1500mg,コンドロイチン硫酸1200mgの併用が退行変性である変形性関節症、関節リウマチの症状を改善することが、最近わかってきています。特にコンドロイチンは即効性はないものの抗炎症作用により痛みを軽減すると言われています。上記範囲の服用では軽い胃腸不快感以外特別な副作用はありません。製品には品質、含有量のばらつきが多いため信頼できるメーカーの製品を選んでください。

 
膝の水を抜くとクセになる?
膝の痛みで整形外科を受診し、水がたまっていると診断されたときには
抜いて関節液の色、にごり具合、浮遊物の有無、粘調度など水の性質をしらべることでかなりの診断がつきます。また水を取ることでかなり痛みもらくになります。しかしそのままでは、また水は貯まって来ます。炎症をおさえたり、筋力訓練をしたり生活を改善して、水がたまる原因を取り除く努力が必要です。
水を抜いたらクセになるというのはまちがいで、正しくは水を抜いたままにしているとクセになるということです。

脳性マヒのボツリヌス治療
最近脳性マヒによる痙性斜頚に使われるようになり効果をあげています。
脳性マヒの方は手足や首の筋肉が突っ張ったり、意志に反して強く動いたりという症状があります。そのため首や頭が傾いたり曲がったりして首を痛めたりバランスが取りにくくなったりします。このような痙性斜頚に対してボツリヌス治療が行われています。永久的治療ではありませんが、数ヶ月ごとにくりかえすことで首の痛みや食事動作などが改善されます。
ボツリヌスとは食中毒をおこすボツリヌス菌の毒素で神経筋伝達を阻害して筋肉を麻痺させる働きがあり、これを利用して筋の緊張を緩和します。ただし講習を受けた医師にかぎり治療を行うことができます。首が前に倒れる、飲み込みにくくなるなどの副作用があらわれることがあります。

脳性マヒに対する選択的筋解離術
身体を支える作用の強い単関節筋(ひとつの関節をまたぐ筋)を温存し、身体を前に進める作用の強い多関節筋を選択的に解離する手術により脳性マヒの痙性を抑制することができると考えられるようになっています。二次障害の予防や治療のひとつとして行うことができ、ほぼ全身に適用でき術後の筋力低下や合併症が少なく、食事や電動車椅子操作などの改善が期待できます。




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